「手足が冷えて眠れない」
「靴下を履いても足先が冷たい」
「冬だけでなく、夏でも冷えを感じる」
そんな冷え性の悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
冷えは単なる体質ではなく、 血流・自律神経・ホルモンのバランスが崩れているサインでもあります。
東洋医学では、冷えを「気血の滞り」「陽気の不足」として捉え、 体の巡りを整えることで根本から改善を目指します。
本記事では、冷え性に効く鍼灸ツボの選び方を、 理論と実践の両面から分かりやすく解説します。
1. 冷え性のタイプを見極める
冷えと一口に言っても、原因や症状のタイプは人それぞれです。 ツボの選び方も、その“タイプ”によって異なります。
■ ① 血行不良タイプ(末端冷え)
特徴:手足が冷える、肩こりがある、顔色が悪い
原因:筋肉の緊張・運動不足・ストレス
→ 対策:血流を促すツボを中心にケア
■ ② 内臓冷えタイプ(お腹の冷え)
特徴:お腹が冷たく、下痢や便秘がある
原因:食生活の乱れ・自律神経の不調
→ 対策:胃腸を温め、消化を助けるツボを刺激
■ ③ 下半身冷えタイプ(腰・足の冷え)
特徴:腰から下が冷える、むくみやすい
原因:骨盤内の血流低下・ホルモンバランスの乱れ
→ 対策:腎(じん)の働きを補い、下半身の巡りを改善
■ ④ 全身冷えタイプ(慢性疲労)
特徴:全身のだるさ、冷えと疲れの併発
原因:エネルギー(気)の不足、甲状腺や自律神経の低下傾向
→ 対策:全身の気血を補い、体温を上げるツボを使う
2. 鍼灸で冷えが改善するメカニズム
鍼灸の刺激は、体の表面だけでなく、 自律神経と血管の反応を通じて深部温度を上げる効果があります。
● 鍼の作用
鍼を刺すことで微細な刺激が神経を介して脳へ伝わり、 血管を拡張するホルモン(セロトニン・アセチルコリンなど)が分泌されます。 その結果、血流が促進され、手足の冷えが和らぎます。
● 灸の作用
お灸の温熱刺激は、ツボを中心に血行を改善し、 筋肉をほぐしながら代謝を高めます。 特に、下腹部や足首まわりに用いると内臓の温度が上がりやすいです。
● 東洋医学的視点
東洋医学では、冷えを「陽気(体を温めるエネルギー)」の不足と考えます。 鍼灸は、この陽気の巡りを整えることで、 体全体の“温める力”を引き出す治療です。
3. 冷え性に効果的な代表的ツボ7選
| ツボ名 | 位置 | 主な効果 | 対応タイプ |
|---|---|---|---|
| 三陰交(さんいんこう) | 内くるぶしの上3〜4cm | 冷え全般・ホルモン調整 | 下半身冷え・内臓冷え |
| 太谿(たいけい) | 内くるぶしとアキレス腱の間 | 腎を補い、全身を温める | 下半身冷え・全身冷え |
| 足三里(あしさんり) | 膝の下、指4本分外側 | 消化機能・血行促進 | 内臓冷え・疲れ |
| 気海(きかい) | おへその下、指2本分 | 体を温める“エネルギー源” | 内臓冷え・全身冷え |
| 関元(かんげん) | おへその下、指3本分 | 免疫力アップ・婦人科系不調 | 内臓冷え・下半身冷え |
| 合谷(ごうこく) | 手の親指と人差し指の間 | 全身の巡り・冷え・肩こり | 末端冷え・ストレス |
| 命門(めいもん) | 背骨の中央・腰の高さ | 体温維持・エネルギー補充 | 全身冷え・腰冷え |
これらのツボは、冷えの“原因に合わせて選ぶ”ことが大切です。 とくに「三陰交」と「太谿」は冷え性ケアの王道ツボです。
4. 冷えを改善するツボの選び方
■ ① 冷えの「場所」で選ぶ
- 足先・手先 → 三陰交・合谷
- 腰・お腹 → 気海・関元・命門
- 全身の冷え → 太谿・足三里
冷えを感じる部分と、その“中心”となる経絡を意識します。
■ ② 「体のサイン」で選ぶ
- 眠りが浅い → 太谿(腎の働きを補う)
- 食欲不振・疲労感 → 足三里(消化と気の巡り)
- 生理不順・下腹の冷え → 三陰交・関元
ツボは、単に温めるだけでなく、 体のリズムを整える“スイッチ”として働きます。
5. 自宅でできるセルフケア方法
鍼灸院に行けない日も、 自分でツボを刺激することで冷えを和らげられます。
● お灸(温熱ケア)
使用目安:1日1〜2か所、各3〜5分
部位:三陰交・太谿・足三里など
市販の台座付きお灸を使用(煙が出ないタイプもおすすめ)
● 指圧・マッサージ
- 1か所につき5秒押して5秒離すを3回
- 「痛気持ちいい」程度の圧でOK
- 足首〜ふくらはぎを手のひらで包み込むように温める
● 入浴+ツボ刺激
入浴中に足三里や三陰交を押すと、 血流と温熱効果が相乗し、冷えが緩和します。
6. 冷えを防ぐ“1日の整え方”
冷え性改善には、ツボ刺激だけでなく、 生活リズムの中で温める習慣を取り入れることが重要です。
朝:代謝を上げる呼吸+白湯
起きてすぐ深呼吸を3回。 その後に白湯を飲むことで体温を1℃上げる効果があります。
昼:姿勢と下半身を意識
長時間座りっぱなしを避け、 1時間に1度は立ち上がって脚を動かす。 ふくらはぎを軽くもむだけでも血流が改善します。
夜:お風呂+ツボケア
38〜40℃の湯に10〜15分浸かり、 お風呂上がりに三陰交や太谿を軽く刺激。 体が温まった状態で行うと効果が倍増します。
7. 鍼灸院での施術ポイント
冷え性の治療では、ツボ刺激のほかに 「全身のバランス調整」が重視されます。
● 施術例
- 背中(命門・腎兪)で“温める力”を補う
- 腹部(関元・気海)で“巡らせる力”を高める
- 手足(合谷・三陰交)で末端の冷えを解消
また、冷えが強い人は、 1回の施術で温かさを感じられても、 数日で戻ることがあります。
そのため、週1〜2回の継続ケアが効果的です。
鍼灸による冷え性改善は、“即効性よりも持続性”。 少しずつ体の代謝が高まり、自然に温まる体質へと変化していきます。
8. 注意点:冷え性の裏にある症状
冷えが長引く場合、 以下のような疾患が隠れている可能性もあります。
- 貧血・甲状腺機能低下症
- 自律神経失調症
- 婦人科疾患(子宮筋腫・月経不順)
- 血圧異常
こうした場合は、鍼灸と並行して医療機関での検査もおすすめです。 鍼灸は「体質改善のサポート」として最適な位置にあります。
9. まとめ
冷え性改善には、 “自分に合ったツボを選ぶ”ことが最も大切です。
- 手足の冷え → 三陰交・合谷
- お腹の冷え → 気海・関元
- 腰・下半身の冷え → 太谿・命門
- 全身のだるい冷え → 足三里・太谿
ツボは「押せばいい」ものではなく、 体の声を聴きながら選ぶもの。
鍼灸を通じて、 体の内側から“温まる力”を取り戻していきましょう。
終わりに
冷えは、体が発している小さなSOSです。
ツボを通じてその声に耳を傾け、 日常の中で少しずつ温める工夫を重ねていくことで、 冷えは確実に改善していきます。
皆さんも、今日からできる小さな温活を始めてみてください。 手足の温もりが戻るとともに、 心まで穏やかに整っていくはずです。
